クリックすると画像を拡大できます。
狩野伊川院栄信
草虫図
Kano Naganobu
Insects among Grasses
掛軸 絹本 各96,3cm×37,5cm(総丈各179cm×49cm) 二重箱入
作品の状態について
画面に剥落が見られます。
表装は描かれた当時のウブ表装と考えています。
(作品解説)
細部の筆致や色合いが、ため息が出るほど美しい逸品です。
色とりどりの草花が画面に咲き誇っており、蝶が花の近くをふわふわと舞っています。まるで美しい庭園が目の前に現れたようにも見えますが、それにしては、遠目には現実感がそれほど強くなく、絵としての美しさへの画家の関心が画面の隅々まで感じられます。
右幅の芥子は上へとまっすぐに伸び、画面右上方から左下方への対角線の左側に余白がたっぷりと取られておち、対角線の近くに芥子の花、飛蝗(バッタ)や大きな蝶を配することで、バランスが整えられています。
一方、左幅は白、赤などの立葵の花が画面左下方から右上方へと円環状に広がり、画面を充填するような活き活きとした力を感じさせます。左右幅ともに夏の花々を取り合わせ、画面上方の余白の大きさや赤、白、ピンクを基調とする色合いに統一感を持たせつつ、対照的な画面構成を用いることで、目に心地よい変化を作り出しています。
作品に近づいてみると、その繊細な筆遣いに、思わず魅入られてしまいます。
花には輪郭線を描かなかったり、極細の筆線を用いたりして、花びらの繊細さや丸み、薄くふっくらとした質感を表しつつ、彩色のグラデーションによって、花の立体感を表しています。
こうした繊細な筆遣いには、栄信の写生図の傑作「草花写生図巻」(東京藝術大学)との共通点が見出されます。活き活きとした、フレッシュな花の表現は、栄信の写生に基づくものと言えるでしょう。
一方、太湖石や虫、蝶の取り合わせ、描き方には、中国の草虫画からの影響がみられます。
栄信は、懇意だった、中国絵画の名品を蒐集した大名家である芸州・浅野家伝来の「草花図」(東京国立博物館)に鑑定書をしたためており、栄信はそうした古典的名品から、端正な画面構成、色のバランス、虫や蝶が花の美しさを引き立たせる工夫などを学んだと考えられます。
細部の描写には写生に基づくと思われるフレッシュな表現が用いられているにもかかわらず、この絵が単なる写生図より美しいのは、構図や色合いに、絵画的工夫を凝らしているからでしょう。
栄信は、そうした表現を、浅野家伝来の「草花図」などから学んだと考えられます。近づいてみると本物のようで、離れてみると理想的な絵画空間にみえる点が素晴らしく、この絵の写生と理想化のバランスの秀逸さが光ります。
作者の栄信は、狩野派を変革した時代の寵児として活躍しましたが、草花図や花鳥図を数多く手がけており、時の大名たちが栄信の草花図をこぞってもとめたことが想像されます。
この絵は、そうした作例のなかでも、写生や繊細な表現に関心を抱き、それと古典的名画の表現を融合させることに注力した若年の栄信の試みがうかがい知れる、きわめて稀少な現存作品です。
この作品の昔の持ち主は、書画に親しんだ静岡出身の政治家・実業家の小泉策太郎氏。
大切に伝えられた栄信の名品は、その繊細な輝きで現代の鑑賞者も飽きさせません。(A)
作家について
狩野栄信(1775~1828)は、奥絵師四家の一つである木挽町狩野家の子として生まれる。父の指導を受け、天明5年に早くも奥御用を始め、寛政12年には江戸城内殿の障壁画を制作。享和2年に法眼に叙された。文化5年に...
ご購入について
当ホームページ上で扱っております作品は、店舗でのご購入だけでなく、通信販売にも対応しております。
作品のご購入は、お電話、お問い合わせフォームよりご連絡ください。当店スタッフが心を込めてご案内いたします。
また、ホームページ掲載作品以外にも多数の在庫がございますので、お探しの作家・作品がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
担当者番号:080-9608-7598
(受付時間:10:00~20:00)
※店を不在にしている事がありますので、担当者携帯にご連絡ください。
※スマホでご覧の場合、上記の番号をタップで電話が掛けられます。

ご購入の流れ
お問い合わせ
お電話・お問い合わせフォームよりご連絡ください。
ご注文の確認
送信内容の控えを自動でお送りしております。
もし届かない場合はトラブルにより
届いていない可能性がありますのでご連絡下さい。
ご注文の確定
ご注文内容の確認をさせて頂きます。
お越し頂いてのご確認ももちろん可能です。
代金のお支払い
通販のお支払い方法は、
銀行振込(先払い)のみとなっております。
店頭ではクレジットカードもご利用頂けます。
商品の発送
きっちりと梱包してお届けいたします。

