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与謝蕪村
消息
Yosa Buson
letter
掛軸 紙本 15cm×38,5cm(総丈97cm×46,5cm) 箱入
作品の状態について
画面、表装共に良い状態です。
弥御安寧被成御座恭喜
至極被存候しかれは昨日
御薙髪之御祝詞申上候
印迄ニいさ丶か成品呈上
仕候處御丁寧之御禮
被仰下又其上ニ両種
被贈下扨々忝仕合
被存候か丶る目出たき
御事ハ年中ニ百度も
有せたきものニ御座候
愚も早速御よろこひニ
参上可仕候處此間ハ
⬜︎⬜︎すくれ不申候ニ付他行
成かたく意外之御ふさた
失禮之段御免可被下候
いか様今晩あたりちよと
御祝義ニ参上仕可申候余
拝顔之節頓首
国を去て三月花に故人あり 百池
春ものうしと布衣をぬくらん 夜半
了爾様 蕪村
〈読み〉
弥(いよいよ)御安寧御座成(な)され、恭喜至極存じられ候。しかれば昨日御薙髪の御祝詞申し上げ候。印迄にいささか成品、呈上仕(つかまつ)り候処、御丁寧の御礼仰せ下され、又其上に両種贈り下され、扨々(さてさて)忝(かたじけな)き仕合(しあわせ)に存ぜられ候。かかる目出たき御事は、年中に百度も有(あら)せたきものに御座候。愚も早速御よろこびに参上仕るべく候処、此間は⬜︎⬜︎すぐれ申さず候に付き、他行成(なり)がたく、意外の御ぶさた、失礼の段 御免下さるべく候。いか様今晩あたりちょと御祝義に参上仕り申すべく候。余は拝顔の節。頓首。
国を去て三月花に故人あり 百池
春ものうしと布衣をぬぐらん 夜半
了爾様 蕪村
〈要旨〉
一層ご安寧でいらっしゃり、恭喜至極に存じます。さて、昨日ご薙髪の祝詞を申し上げました。その印までに少しばかり成品を呈上いたしましたが、ご丁寧にお礼をお命じなり、それに加えて返礼の品二種をお贈りくださり、身にあまる幸福と存じます。このようなめでたき御事は、一年に百度あってほしいものでございます。私もすぐにお祝いに参上いたすべきですが、この頃は⬜︎⬜︎がすぐれないので外出するのが難しく、思いのほかご無沙汰になってしまったことご容赦ください。ぜひとも今晩あたり、ちょっとお祝いのご挨拶に参上いたします。
◯薙髪(ちはつ) 頭髪を剃ること。僧となること。剃髪。 ◯祝詞 お祝いの言葉や文章。 ◯呈上 物を人に贈ることを敬っていう語。 ◯両種 返礼の品二種。 ◯扨々(さてさて) 扨を強調した語。そうして。それから。ところで。 ◯仕合(しあわせ) 幸運。幸福。 ◯愚 男性の自分を謙遜していう語。 ◯他行(たぎょう) 他の場所に行くこと。外出すること。 ◯いか様 ぜひとも。 ◯拝顔 人に会うことをへりくだっていう語。お目にかかる。 ◯布衣 狩衣。公家の常用略服。
〈解説〉
宛名の「了爾様」は、蕪村の俳諧の弟子であり経済的支援者でもあった寺村百池(1748−1836)の父助右衛門のこと。俳号は三貫、了爾は法号。天明4年(1784)正月20日没。親子二代にわたり蕪村に師事しました。
了爾の薙髪(=髪を剃り落として仏門に入ること)祝いに贈り物をしたところ、返礼があったことに対し、すぐに参上すべきだが、行けないことを謝した書簡です。潁原退蔵編『改訂増補 蕪村全集』(更生閣、昭和8年刊)所収。了爾の薙髪の時期は不明ですが、筆跡の特徴から、安永6、7年頃の染筆と推定されます。なお、百池と蕪村の連句の部分は蕪村筆ではありますが、のちに別紙を貼り合わせたものです。『改訂増補 蕪村全集』にはこの連句はありません。また、柿衛文庫に所蔵される、了爾の薙髪祝いの品を贈るに際し添えた書簡(『没後220年 蕪村』所載作品)に引き続く内容が本書簡です。
百池の句は「旧友が国を去ってからもう三ヶ月ほどになる。折しも桜の季節を迎えたが、友もはるか彼方で美しい花を仰ぎ故郷に思いを馳せているのだろうか」という意。白居易は「八月十五日の夜、禁中に独り直(とのゐ)し、月に対して元九を憶ふ」という詩に「三五夜中 新月の色、二千里外 故人の心」と詠んで仲秋の名月に故人を思いやったが、私には花に思いやる故人があるのだという作意があります。蕪村の句は「せっかくの春なのに何となく心が晴れぬと、一度身に纏うた布衣をぬぐのであろう」という意。百池の発句の格調を受けて、故人を思う人物を都人としています。折からの花も親しい友が居ないのでつまらないと、外出を取りやめる様、または、せっかくの花見も親しい友が居ないのでつまらなかった、という解釈ができます。(Y)
【連句とは】
複数の人で、五・七・五の長句と七・七の短句を、一定の規則に従って交互に連ねていく集団創作の文芸。時に大胆な展開や変化を見せつつ、全体を通じて醸し出される趣を楽しむ。百韻・五十韻・世吉・歌仙などの形式がある。
作家について
与謝蕪村(1716~1783)は、大雅よりも7歳年上で、1716年に大阪で生まれた。
20歳頃江戸へ行き、俳諧師を志し、その後10年ほど関東や東北地方を遊歴して各地で俳諧活動を行いながら、1751年36歳で京都へ上がる。...
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