与謝蕪村
桃李園序
Yosa Buson
Calligraphy
掛軸 紙本 32cm×29,7cm(総丈109cm×41,5cm) 雨森白水箱書
作品の状態について
画面、表装共に大変良い状態です。
夫天地者萬物之逆旅光
陰者百代之過客而浮生若
夢為歡幾何古人秉燭夜
遊良有以也況陽春召我以
煙景大塊假我以文章會
桃李之芳園序天倫之樂事
群季俊秀皆為惠連吾人詠
歌獨慚康楽幽賞未已髙談
轉清開瓊筵以坐花飛羽觴以
酔月不有佳作何伸雅懐如詩
不成罰依金谷酒數
東成謝寅書
〈読み〉
夫れ天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり。
而して浮生は夢の若(ごと)し、歓を為(な)すこと幾何(いくばく)ぞ。
古人 燭を秉(と)りて夜遊ぶ、良(まこと)に以(ゆえ)有(ある)るなり。
況んや陽春 我を召すに 煙景を以てし、大塊 我に仮すに 文章を以てするをや。
桃李の芳園に会して、天倫の楽事を序す。
群季の俊秀は、皆 恵連たり。
吾人の詠歌は、独り康楽を慚(は)づ。
幽賞 未だ已(や)まざるに、高談 転(うた)た清し。
瓊筵を開きて 以て花に坐し、羽觴を飛ばして 月に酔う。
佳作 有らずんば、何ぞ雅懐を伸べんや。
如(も)し 詩成らずんば、罰は金谷の酒数に依らん。
東成謝寅書
〈口語訳〉
そもそも、広大な天地とは、万物を迎え入れる旅館のようなもの。流れゆく光陰とは、永遠に絶えることなき旅人のようなもの。そして、定めなき人の生命は、夢のごとく、歓び楽しむ歳月は、どれほどもない。昔の人々が、灯し火を手にとって夜も遊び楽しんだのは、まことに理由の有ることなのだ。ましてや今、うららかな春の季節は、かすみ立つ美しい景色で私に呼びかけ、大いなる大地は、すぐれた文章を書くべき資質を私に与えてくれている。桃やスモモが芳しく咲くこの庭園に集い、骨肉どうしが相い語る本当の楽しみを述べ記そう。ここに群れ集う年若い俊秀たちは、みな謝恵連のような詩才をもつ。年上の私の詠歌だけは、ただただ謝康楽の出来ばえに及ばない。静かで奥深い賞め言葉がつづくうちに、賑やかな談論の趣きは、いよいよ清らかさを増してくる。玉のような美しい敷き物を広げて、花さく樹々の下に腰をおろし、羽根飾りのついた杯を回して、月光のもとで酒に酔う。すぐれた詩歌が生まれなければ、高雅な胸の懐いは、どうして十分に表わせようか。もし詩ができなかったなら、その罰としては、金谷園の罰杯の数に倣うことにしよう。
〈解説〉
有名な唐代の詩人・李白の「春夜宴桃李園序」を、四角ばった蕪村独特の書風で記した作品です。「謝寅」の署名があるので、晩年の作と分かります。「春夜宴桃李園序」は、李白が春の夜に従弟の桃李園で宴席を開いた詩歌の集の序文で、春の夜の花見が描写されています。この序の冒頭は、蕪村が俳諧において最も敬愛していた松尾芭蕉の『奥の細道』の冒頭「月日は百代の過客にして、行かふ年もまた旅人なり」に用いられています。(Y)
作家について
与謝蕪村(1716~1783)は、大雅よりも7歳年上で、1716年に大阪で生まれた。
20歳頃江戸へ行き、俳諧師を志し、その後10年ほど関東や東北地方を遊歴して各地で俳諧活動を行いながら、1751年36歳で京都へ上がる。...
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